糸の成り立ち
糸は単なる「羊毛の糸」ではありません。それはエンジニアリングの産物です。繊維が束に撚り合わされ、束が糸に撚り合わされ、さらに糸同士が合糸(twisted together)されることもあります。各工程が完成した糸の特性——弾力性、強度、テクスチャー、仕上がりの見た目——に影響を与えます。
撚り(twist)
撚りとは、糸をまとめて保持するために繊維を捻ることです。撚りがなければ、繊維はバラバラになってしまいます。撚りの方向には2種類あります:
Z撚り — 繊維が右方向(時計回り)に捻られています。繊維の対角線はアルファベットの「Z」の中央の線に対応します。市販の糸で最も一般的な方向です。
S撚り — 繊維が左方向(反時計回り)に捻られています。対角線はアルファベットの「S」の中央の線に対応します。
合糸(plying)の際には撚りの方向が逆になります。個々の束がZ撚りであれば、合糸された糸はS撚りになります。この逆方向の合糸が糸を安定させます。
Ply — 束の数
シングル(1-ply) — 撚りをかけた1本の束。柔らかいですが不安定で、ねじれ(バイアシング)が生じやすい傾向があります。シングル糸で編んだメリヤス編みは斜行します。
2-ply — 2本の束を合糸したもの。より安定していて断面が丸くなります。目が際立ち——表目の「V」字がはっきりと現れます。
3-ply — 3本の束。丸くて丈夫な糸。靴下や衣料品に伝統的に使用されます。
4-ply以上 — さらに丸くて丈夫になります。「4-ply」という用語はイギリスの表記では太さの目安(フィンガリングウェイト)としても使用されるため、混乱を招くことがあります。
構造が作業に与える影響
| 特性 | シングル/低撚り | 合糸/高撚り |
|---|---|---|
| 目の鮮明さ | 柔らかく、ぼんやりしている | シャープで鮮明 |
| 毛玉のできやすさ | 高い | 低い |
| 強度 | 低い | 高い |
| ドレープ性 | 高い | 低い |
| 適した用途 | ショール、スカーフ、軽い衣料品 | 靴下、バッグ、縄編み模様 |
実践的なポイント
縄編み模様(ケーブル) — 目のシャープな鮮明さが必要です。撚りのしっかりした合糸(3-ply、4-ply)を選びましょう。シングル糸では縄編みの模様が「埋もれて」しまいます。
レース編み — 低撚りのシングルまたは2-ply。柔らかくドレープがあり、透かし模様の穴がブロッキング時に美しく開きます。
靴下 — ナイロン混の丈夫な合糸。高撚り=耐摩耗性。
メリヤス編み — 合糸はシングル糸が引き起こす斜行(バイアシング)を最小限に抑えます。